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恐竜

ティラノサウルスは子育てにオスも参加したの?恐竜化石の新発見も

「ティラノサウルスは子育てにオスも参加していた可能性がある」ということがわかりました!

もっとくわしく知りたい!

そこで、今回は「ティラノサウルスは子育てにオスも参加したの?恐竜化石の新発見も」と題し、ティラノサウルスの子育てについてどんなことがわかっているのかを調べました!

この記事では

ツグミ
ツグミ
・ティラノサウルスは子育てにオスも参加したの?
・ティラノサウルスはどんな子育てをしたの?
・恐竜恐竜化石の新発見

このような疑問を解決します。

世界最小の恐竜卵化石はどこで見られる?兵庫県丹波市での恐竜体験も兵庫県丹波市で見つかり、2020年に論文発表、世界最小のギネス認定もされた恐竜卵化石「ヒメウーリサス・ムラカミイ」 2021年8月...

 

 

ティラノサウルスは子育てにオスも参加したの?

いかついティラノサウルスのオスが子育てをしていた可能性があるなんて、驚きですよね。

でも、オスが子育てをすることでより多くの子どもが生き延びられるなら、オスの子育ては生存戦略として理にかなっています。

実際、現存する動物の中にも、オスが子育てをする動物は多く見られます。

 

魚類では、タツノオトシゴのオスは、腹部の育児嚢(いくじのう)で、メスが産んだ卵が稚魚になるまで保護することが知られています。

 

両生類では、アフリカウシガエルのオスは、メスの産んだ数千個の卵がオタマジャクシになった後も面倒をを見ます。

炎天下で水たまりが乾き始めると、深く冷たい水のある場所までオタマジャクシを導いたり、溝を掘って消えかけの水たまりに水を引き込んだりします。

 

現存する恐竜である現生の鳥類では、9割以上の種で、オスが卵を温めたり餌をとりに行ったり、子育てに協力していることがわかっています。

私たち哺乳類では、オスが子育てに参加する種はわずか5%未満。

鳥類のオスの子育て参加は驚くほど高いことがわかりますね!

鳥に近いとされるティラノサウルスのオスが子育てをしていたとしても、まったく不思議ではありません。

 

 

ティラノサウルスのオスはどんな子育てをしたの?

ティラノサウルスのオスがどんな子育てをしていたのかを知る手がかりになる研究があります。

鳥類の祖先とされる小型獣脚類の恐竜で「オスによる子育て」がすでに始まっていた、とする研究が、2008年12月、アメリカの科学誌「Science」に発表されました。

白亜紀後期(9500万年-6500万年前)の小型獣脚類、トロオドン類はオスが卵を温めていた可能性が高いことを、 米モンタナ州立大学などの研究チームが発表したのです。 

チームは、卵化石の総容量(大きさ x 数)と、卵を抱いた状態で見つかったおとなの恐竜の化石から、オスが卵を温めていたのではないかと論じています。

 

ティラノサウルスはオス中心に子育てをしていた可能性がある

白亜紀後期の北半球に生息していた小型の獣脚類であるトロオドン類は、非対称な形・層状の殻など、現生の鳥とよく似た特徴を持つ卵を産んでいました。

現生の鳥では、親が一度にあたためる卵の総容量(大きさ × 数)を、おとなの体重がほぼ同じ種同士で比較した場合、主にオスが子育てを行う種で総容量が最も大きくなり、両親が子育てを行う種で最も小さくなることが知られています

オス中心に子育てを行う種で総容量が最も大きくなるのは、オスに子育てを任せられる場合、メスはより大きくたくさんの卵を産むことに集中できるからと考えられます。

反対に、両親が一緒に子育てを行う場合、卵にかかる体力の消耗を抑えることで、ひなの世話の方により多くの時間やエネルギーを使うことができるためと考えられています。

つまり、子育てへのオスのかかわり方が、卵を大きく多数産むのか、ひなの世話に力を入れるのか、生存戦略を変えるのです。

トロオドン類の恐竜の巣の中で発見された卵の数は20~30個と多く、卵の大きさも親の身体に比べて大きいことから、現生の鳥のなかでもダチョウやレア,エミューなど、オス中心に子育てをする種の卵の総容量に極めて近いものだったことがわかりました

 

ティラノサウルスのオスも、トロオドン類のように、オス中心に子育てしていた可能性があります。

ティラノサウルスの卵化石はまだ見つかっていません。

もしティラノサウルスの卵化石が見つかったら、親が一度にあたためる卵の総容量(大きさ × 数)を計算すれば、オスも子育てしていたか、確かめられそうですね。

 

ティラノサウルスのオスは卵を守っていたかもしれない

トロオドン類の.卵が並んだ巣の化石と一緒に、卵の世話をしていたらしいおとなの化石も発見されました。

そのおとなの化石がオスの可能性があるとわかったのです。

 

現生の鳥類のメスは、産卵期になると大腿骨の内側に「骨髄骨」とよばれる特別な構造がつくられ、そこで卵の殻の原料となるカルシウムやリンをつくります。

2005年、アメリカでティラノサウルスの大腿骨の化石からも「骨髄骨」が発見されたことから、現生の鳥同様、恐竜の化石も「骨髄骨」があれば産卵期のメスと判断できることがわかりました。

 

そこで、卵を抱いた状態で見つかったおとなの恐竜の後足の骨の内部構造を調べたところ、「骨髄骨」は発見されず、骨から直接カルシウムなどが溶け出した様子も見られませんでした。

つまり、卵を抱いていたおとなの恐竜は産卵期のメスではなく、オスだった可能性があるとわかったのです。

産卵期のメスが体内のカルシウムやリンを使わずに卵を産んでいたことも考えられますが、この場合、カルシウムやリンを多く含む餌を採ることで身体の外から補給するしかありません。

この方法では大きな卵をいくつも産み続けることは難しいと考えられています。

 

卵の総容量と骨の構造は、どちらも状況証拠でしかないので、オスが卵を抱いていたと結論づけるのは早いかもしれません。

オスが卵を抱いていたとしても、トロオドン類のみで、他の恐竜ではメスが卵を抱いていたかもしれません。

 

ティラノサウルスは体が大きいことから、トロオドン類のようにオスが卵の上に座って温める「抱卵(ほうらん)」は無理だったでしょう。

それでも、ティラノサウルスのオスが卵の近くにいて、敵から卵を守り、生まれた子どもの世話をした可能性は充分あるといえます

 

 

恐竜化石の新発見3選

最新の発見や研究が、今までの「恐竜」の概念を覆すのが恐竜のおもしろいところ。

まさに古くて新しいのが恐竜。

そんな恐竜化石新発見のち、ホットな新発見3つを選びました。

 

ティラノサウルスは群れで生活していた?

2014年7月、米国ユタ州南部の公有地で、ティラノサウルスの仲間の複数の個体の化石が雑多に混ざりあった状態で見つかりました。

発見されたティラノサウルスの仲間は、少なくとも推定4歳、7歳、10歳、22歳の、4体の化石で、テラトフォネウス(Teratophoneus curriei「カリー氏の殺戮モンスター」)と名づけられました。

複数の個体が同じ場所で同時に死んだように見えたことから、ティラノサウルス類が社会的な集団を形成していた可能性があることがわかりました。

ティラノサウルス類がオオカミやライオンの群れのように行動し、協力して集団で狩りを行っていた証拠になるのではないかとも考えられます。

ただ、ティラノサウルス類が協力して集団で狩りを行っていたかどうかは推測の域を出ません。

生の捕食動物に真の意味で集団狩猟を行う例はほとんど見られないことから、ティラノサウルス類が集団で何をしていたのかはまだ謎に包まれたままです。

 

 

スピノサウルスは泳ぎが得意だった!

スピノサウルスは泳ぎが得意だったことが2020年4月29日に学術誌「ネイチャー」に発表されました。

スピノファンなら「やっぱり!」ですよね。

論文によると、今回見つかった「スピノサウルス・エジプティアクス(Spinosaurus aegyptiacus)」の尾は、これまでに見つかっている大型恐竜のなかで、最も水生に適応しているといいます。

多くの尾椎から伸びる長さ60cm近くの繊細なトゲが、スピノサウルスの尾全体をオールのような形にしていることがわかりました。

尾椎を連結するコブが尾の先の方では消失していることから、魚の尾びれのように尾をくねらせて水中を泳ぐ動きに長けていたとも。

獲物を追いかけ大河を悠々と泳ぎ進むスピノサウルスの様子が想像できますね。

 

国内最古の卵化石発見!

日本国内でも、近年、兵庫県や山口県などから相次いで恐竜の卵化石が報告され、当時の日本の恐竜相を知るうえで重要な手がかりとなっています。

山口県下関市の白亜紀前期(1億2千万~1億年前)の地層から1965年に採集された恐竜の卵化石が新種と確認され「ムルティフィスウーリトゥス・シモノセキエンシス(下関の多裂卵石)」と命名されました。

兵庫県で見つかった卵化石6種の中のうち「ヒメウーリサス・ムラカミイ(村上さんの小さい卵の石)」は世界最小のギネス認定を受けました。

世界最小の恐竜卵化石はどこで見られる?兵庫県丹波市での恐竜体験も兵庫県丹波市で見つかり、2020年に論文発表、世界最小のギネス認定もされた恐竜卵化石「ヒメウーリサス・ムラカミイ」 2021年8月...

そして、岐阜県高山市荘川町「手取層群大黒谷層」で見つかった卵化石は国内最古と判明!

岐阜県高山市荘川町に分布する前期白亜紀の「手取層群大黒谷層」では、1988~2009年の間に計9点の卵化石が発見されたものの、未分類のままでした。

そこで改めて9点の卵化石を分析した結果、カメ類の他に、トロオドン科かそれに近縁な非鳥類型獣脚類恐竜の少なくとも2種類が含まれていることがわかりました。

トロオドン科とみられる卵殻化石の発見としては兵庫県に次いで国内2例目、しかも手取層群でトロオドン科の存在の可能性を示す初めての報告です。

最近の年代測定の報告から、大黒谷層は約1億3000万年前に形成されたと推測され、荘川の標本は恐竜類の卵化石としては国内最古となることが分かりました。

前期白亜紀は世界的にも卵化石の発見が乏しい時代です。

山口も兵庫も卵化石が見つかったのは前期白亜紀。

日本の前期白亜紀の卵化石は、恐竜類の進化や生態を考えるうえで、世界的にも重要な大発見なのです。

 

 

まとめ

以上、「ティラノサウルスは子育てにオスも参加したの?恐竜化石の新発見も」をご紹介しました。

ティラノサウルスのオスが子育てをしていた可能性が高いことがわかりました。

また、ティラノサウルスが集団で生活していたと考えられることから、子どもとの関係が深く、協力して狩りをしていたかもしれないと推測できます。

恐竜化石が発見されるたび、新発見の連続でワクワクしますね!

恐竜好き・化石好きにとって、これからの研究にも目が離せません。

【参考】

・Yahooニュース:ナショナル・ジオグラフィック「子育てに超熱心な動物界の父親たち 7選」2021/7/25
https://news.yahoo.co.jp/articles/440850fb495541984c376a7e7a2b9d11117fad70?page=3
・岐阜県立博物館「日本最古の恐竜卵殻化石に関する研究について」2021/7/3
https://www.gifu-kenpaku.jp/kenkyu/
・ナショナル・ジオグラフィック「ティラノサウルスは群れで暮らしていた? 新たな証拠か」 2021/4/28
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/042800216/
・Alan L. Titus “Geology and taphonomy of a unique tyrannosaurid bonebed from the upper Campanian Kaiparowits Formation of southern Utah: implications for tyrannosaurid gregariousness” PALEONTOLOGY AND EVOLUTIONARY SCIENCE 2021/4/19
https://peerj.com/articles/11013/
・子ども科学電話相談「ティラノサウルスはワニのように赤ちゃんを口に入れて運んでいたの?」 2021/1/24
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/article/kodomoq/pm_bMFz6Un.html

・ナショナル・ジオグラフィック「
スピノサウルスの意外な尾を発見、実は泳ぎが得意だった」2020/5/1
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/050100271/
・日本経済新聞「新種の恐竜卵化石に命名 山口・下関、国内初の発見」2020/3/17
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56879940X10C20A3000000/
・講談社:「謎の恐竜」の恋愛や子育ても…この恐竜映画&図鑑は「定説」を超える!2020/2/21
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/70552
・子ども科学電話相談「恐竜のオスが卵を温めたのはなぜ? 」2020/6/21
https://www.nhk.or.jp/radio/magazine/detail/kodomoq20200621_02.html
・生物工学会誌 第95巻 第2号 勝義直、井口泰泉「ワニの世界にようこそ」2017
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9502/9502_index.pdf
・国立科学博物館「恐竜の子育て:卵を抱くオスがいた?」2009/5/15
https://www.kahaku.go.jp/userguide/hotnews/theme.php?id=0001242347625173&p=3
・David J. Varricchio1 “Avian Paternal Care Had Dinosaur Origin” Science Vol 322, Issue 5909 19 December 2008
https://science.sciencemag.org/content/322/5909/1826
・Mary H. Schweitzer “Gender-Specific Reproductive Tissue in Ratites and Tyrannosaurus rex”2005/6/3
https://science.sciencemag.org/content/308/5727/1456

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