東京オリンピック競泳男子400m個人メドレーでまさかの予選落ちに見舞われた瀬戸大也(せとだいや)選手。
試合直後のインタビューでも「予選落ちが信じられない」という困惑の表情を隠せませんでした。
スタートから前半の泳ぎが好調でしたので「これは余裕で予選通過だ」と誰もが思ったはず。
それだけに、まさかの予選落ちは、ただただ信じられない気持ちでいっぱいです。
なぜ予選落ちしてしまったのでしょう…。
Web上の記事をいろいろ読んでみましたが、納得できる記事が見つからず、モヤモヤは募るばかり。
眠れません…。
油断だけが原因なはずはない!と思った私は、このモヤモヤ感を解決するため、「瀬戸大也予選落ち理由なぜ?油断だけでは説明できない本当の原因」と題し、予選落ちの原因を調査することにしました。
この記事では
・瀬戸大也選手予選落ちの本当の原因は?
・瀬戸大也選手予選落ちは仕方なかったの?
このような疑問を解決します。
瀬戸大也予選落ち理由は油断だけ?
まず、試合直後のインタビューでの瀬戸大也選手の言葉をよく読んでみます。
「ちょっと…自分でもちょっと…信じられないです。
リオで予選、結構いってしまって、決勝上がらなかったっていうことがあったので、
そういう経験もふまえて、かなり泳ぎの方がよかったので、
かなり後半から上げてくる子たちが多かった中で、焦らずっていう感じで、
明日しっかりと上がるように泳げばいいや、っていう感じで泳いだんですけど、
自分の読みというか… うーん、そうですね… コマ進められなかったので… 残念です。
いい感じで泳いでたんで、思ったよりも決勝ラインが速かったかな、と思います。」「瀬戸大也予選を振り返る 競泳男子400m個人メドレー予選インタビュー」https://2020.yahoo.co.jp/video/highlight/6265047220001
インタビューの言葉から、次のことがわかります。
①「ちょっと…自分でもちょっと…信じられないです」と、言葉が途切れるほどの驚きを隠せない。
→予選落ちは瀬戸大也選手にとって予想外だった。
②「リオで予選、結構いってしまって、決勝上がらなかったっていうことがあったので、
そういう経験もふまえて(略)明日しっかりと上がるように泳げばいいや、っていう感じで泳いだ」と、前回の反省から、決勝のために体力を温存するつもりだった。
→決勝に焦点を合わせたレース配分が予想外の結果を招いた。
③「かなり後半から上げてくる子たちが多かった中で」と、年下の若い選手たちが後半からペースを上げてくることを予想しながらも、明日のために焦ってはならないと考えていた。
→若い選手たちの、後半からのペースの上げ方が予想外に速かった。
④「思ったよりも決勝ラインが速かったかな、と思います」
→実際の決勝ラインが予想外に速かった。
油断が原因、と言ってしまえばもっともですが、「予想外」が多いような気がします。
予選落ちの原因は、油断のみではなく、レースの読みが予想外に外れたことに起因すると考えられます。
そこで、今回の予選の結果が瀬戸大也選手の予想を大きく外した原因を調べます。
瀬戸大也予選落ち本当の原因は?
競泳男子400m個人メドレーに限り、前回のリオデジャネイロ・オリンピックと今回の東京オリンピックで何が違うかを調べてみました。
また、この5年間の変化も調査しました。
リオデジャネイロよりも予選ラインが速い
瀬戸大也選手がインタビューで言っていたとおり、たしかに今回は前回のリオデジャネイロよりも予選ラインのタイムが速いことがわかりました。
リオ予選ライン「4:13.55」に対し、東京予選ラインは「4:10.20」で、3秒35も速くなっています。
瀬戸大也選手の今回の予選タイムは「4:10.52」ですので、リオなら余裕で入っていましたが、東京ではわずか「.32」及びませんでした。惜しい!
「朝日新聞デジタルリオオリンピック2016」
http://www.asahi.com/olympics/2016/results/swimming/events/?sj_page2=SWM054900
「NHK2020オリンピック」
https://sports.nhk.or.jp/olympic/sports/swimming/event/men-400m-individual-medley/phase/swm054900/doc/results/
リオ予選出場選手名 | 予選タイム |
チェイス・カリシュ | 4:08.12 |
瀬戸大也 | 4:08.47 |
萩野公介 | 4:10.00 |
ジェイ・リザーランド | 4:11.10 |
マックス・リッチフィールド | 4:11.95 |
トーマス・フレーザーホームズ | 4:12.51 |
マホニー | 4:13.37 |
ポンス | 4:13.55 |
東京予選出場選手名 | 予選タイム |
ブレンドン・スミス | 4:09.27 |
ルイス・クレアバート | 4:09.49 |
チェイス・カリシュ | 4:09.65 |
ダービド・ベールラスト | 4:09.80 |
アルベルト・ラッツェッティ | 4:09.91 |
ジェイ・リザーランド | 4:09.91 |
レオン・マルシャン | 4:10.09 |
マックス・リッチフィールド | 4:10.20 |
瀬戸大也 | 4:10.52 |
若い選手の台頭が予選ラインを縮めた
リオに比べ東京の予選ラインが大幅に短くなった原因は、若い選手のオリンピック出場が考えられます。
東京予選進出選手の中で、前回のリオの予選進出に名前のなかった選手は下記4名。
しかも、全員、1994年生まれの瀬戸大也選手より5歳以上も若いのです。
若くスタミナのある選手たちの後半の追い込みが、今回の予選ラインを大幅に縮めたと考えられます。
選手名 | 生まれ年 |
ルイス・クレアバート | 1999 |
ブレンドン・スミス | 2000 |
アルベルト・ラッツェッティ | 1999 |
レオン・マルシャン | 2002 |
世界の競泳レベルが読み切れなかった
ただ、金メダルを狙うほどの世界トップレベルの瀬戸大也選手が、若手選手の出場が予選ラインを縮めることなど、当然予想できたはずです。
様々な情報を収集し、分析し、万全の態勢で予選に臨んでいるに決まっているからです。
なぜ、予想しきれなかったのでしょうか。
おそらく、コロナによる東京オリンピック開催延期で、オリンピック直前に実施されるはずの世界大会がなくなり、世界の競泳を肌で感じる機会がなかったからだと私は思います。
いくら最新の情報を得ることができたとしても、取得した情報をうまく使えなければ意味がありません。
今までは、各世界大会という舞台で実際に世界の選手と競い合う中で、各選手の情報を体で取り込んでいたのだと思います。
世界の競泳事情を体で感じることができなくなったことで、感覚や読みがずれてしまったのではないでしょうか。
瀬戸大也予選落ちは仕方なかったの?
2020年1月25日、 東京辰巳国際水泳場で開催された北島康介杯で、瀬戸大也選手は男子400メートル個人メドレーに4:06.09で優勝しました。
これば自身が持つ 4:07.95の自己ベストを大幅に更新した最高記録で、萩野公介選手が2016年リオデジャネイロオリンピックで決めた日本記録 4:06.05に.04差で迫る結果でした。
東京オリンピックでは世界記録 4:03.84をも目指すと意気込みを見せていた瀬戸大也選手にとって、直前の好調がかえって読みの甘さを招いてしまった可能性もゼロではありません。
不調でも好調でも、心身ともに最高の状態に調整するのは至難の業。
きっと、それができるアスリートこそがメダルを獲得できるのでしょう。
仕方なかった、では通過できないのが予選。
読みが甘かった、では獲れないのがメダル。
ここにオリンピックの難しさがあります。
まとめ
以上、「瀬戸大也予選落ち理由なぜ?油断だけでは説明できない本当の原因」を考えてきました。
瀬戸大也選手の予選落ちの原因は、
- リオデジャネイロよりも予選ラインのタイムが速かった
- 若くスタミナのある選手たちが予選ラインを大幅に縮めた
- コロナによる世界大会日程変更で、世界の競泳レベルを肌で感じる機会がなかった
であることが予想できます。
本種目の予選落ちは残念ですが、まだ他種目があります。
予選のひとつひとつを慎重に、着実に決勝へ進んでメダルを取ってほしいと思います。