こんにちは!
野鳥大好き!バードウォッチング大好き!のツグミです。
初心者で身近な野鳥を見慣れてきたら、ワシやタカが見てみたい!と思う瞬間が来るはず。
今回は、都心からも遠くない、ワシタカのバードウォッチングの名所「渡良瀬遊水地」をご紹介します。
バードウォッチングの名所「渡良瀬遊水地」の魅力とは?
ワシタカを見るなら「渡良瀬遊水地」が最適な探鳥地です。
渡良瀬遊水地は釧路湿原に次ぎ国内第2位の規模を誇るヨシ原を擁する低層湿原で、2012年にラムサール条約湿地登録されました。
足尾銅山から流れ出した鉱毒を沈殿させ、長年悩まされてきた洪水を遊水させる治水目的で、谷中村を廃村するという犠牲の上につくられた歴史があります。
国際空港、ゴルフ場、レジャーランドの建設計画が持ち上がるたびに、地元住民が中心となり反対運動を重ね、ラムサール条約湿地登録を達成したことから、地元住民の思い入れも強い場所です。
渡良瀬遊水地はラムサール湿地としては珍しく、人工的な治水事業と貴重な動植物の生息環境保全という、一見相反するふたつの柱を両立させています。
2019年の台風19号にともなう水害の際は、遊水地全体の最大容量の95%まで貯留し、利根川に流入する水量を抑え洪水を回避しました。
洪水を防ぎ近隣住民を守る大きな役割を果たしたことから、これからの治水と環境保全の両立の好例としても注目を浴びています。
なぜ渡良瀬遊水地はバードウォッチングの名所なの?
渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会によると、これまで渡良瀬遊水地で確認できた野鳥は230種、猛禽類はワシタカ科15種、ハヤブサ科4種、フクロウ科5種の合計24種にも上ります。
つまり、渡良瀬遊水地は一か所で猛禽類を含む多くの種類の野鳥を観察できるバードウォッチングの名所なのです。
渡良瀬遊水池の自然-野鳥・ほ乳類・魚|渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会
また、渡良瀬遊水地は渡り鳥の移動の要衝地、希少な種類の野鳥の重要な繁殖地にもなっています。
初心者でも一度に多くの種類の野鳥に出会える、満足度の高い探鳥地です!
渡良瀬遊水地でのバードウォッチングの楽しみ方
渡良瀬遊水地は広大です。
慣れると数々のポイントを移動してバードウォッチングを楽しめますが、初心者が初めて行くと、まず途方に暮れます(笑)
そこで初心者にオススメなのが、第 1調節池にあるハートの形をした「谷中湖」の北、「史跡保全ゾーン」周辺です。渡良瀬遊水地ガイドマップの、ハートの池のちょうどくぼんだ辺りにあります。
ここなら近くに駐車場やトイレ、売店もありますので、初心者が安心してバードウォッチングができます。
史跡保全ゾーンは日本野鳥の会の探鳥会のルートでもあるので、多くの野鳥を観察できますよ。
バードウォッチングの名所、渡良瀬遊水地で会える野鳥
渡良瀬遊水地では1回のバードウォッチングで50種類近くの野鳥が観察できるときもあります。
夏はオオヨシキリ、コヨシキリ、セッカがあちこちでさえずり、ヨシ原がとってもにぎやかです♪
アオアシシギ | キジ | トビ |
アオサギ | キジバト | トラツグミ |
アオジ | クイナ | トラフズク |
アカハラ | ケアシノスリ | ノスリ |
アトリ | コアジサシ | ノハラツグミ |
アリスイ | ゴイサギ | ハイイロチュウヒ |
イソシギ | コウノトリ | ハイタカ |
ウグイス | コガモ | ハクセキレイ |
エナガ | コゲラ | ハシビロガモ |
オオジュリン | コチョウゲンボウ | ハシブトガラス |
オオセッカ | コミミズク | ハシボソガラス |
オオタカ | コヨシキリ | ハヤブサ |
オオヨシキリ | サンカノゴイ | ヒシクイ |
オカヨシガモ | シジュウカラ | ヒヨドリ |
オナガガモ | シメ | ヒバリ |
カイツブリ | ショウドウツバメ | ベニマシコ |
カケス | ジョウビタキ | ホオジロ |
カツオドリ | シロハラ | マガモ |
カッコウ | セッカ | マガン |
カルガモ | ダイサギ | ミサゴ |
カワウ | タヒバリ | モズ |
カワセミ | チュウサギ | ヨシゴイ |
カワラヒワ | チュウヒ | ルリビタキ |
カンムリカイツブリ | チョウゲンボウ | ホシムクドリ |
キセキレイ | ツバメ |
バードウォッチングには渡良瀬遊水地の観察会や調査がオススメ
渡良瀬遊水地をひとりでバードウォッチング、というのも楽しいですが、観察会や調査に参加すれば、さらに楽しい経験ができます。
初心者なら観察会で熟練バードウォッチャーから学ぶことが多く、調査ではバードウォッチングを楽しめるのはもちろん、野鳥の専門家からプロの知識を得ることもでき、まさに一石二鳥!
渡良瀬遊水地には様々な探鳥会や調査があり、定期的に開催されるものもあるので、継続参加すれば毎回違った体験ができ、鳥仲間もできて楽しいですよ。
渡良瀬遊水地の探鳥会に参加しよう
初心者バードウォッチャーなら探鳥会に参加するのがオススメ。
探鳥会に参加すれば、ひとりでバードウォッチングするより、はるかに多くの野鳥に気づくことができます。
また、熟練バードウォッチャーから野鳥の見わけ方や特徴を教えてもらえますし、わからないことをすぐにきくことができ、野鳥の知識も広がります。
熟練バードウォッチャーの経験は、図鑑に載っていないことばかりで、とっても役に立つし、おもしろいですよ。
日本野鳥の会では、地元の栃木支部、埼玉支部などが探鳥会を開いています。
渡良瀬遊水地は様々な団体が独自の切り口で探鳥会や観察会を開いているので、いろいろな団体の観察会に参加すると、独自のカラーがあっておもしろいですよ。
ツバメのねぐらを観察しよう
渡良瀬遊水地で開催される探鳥会のうち、とくにオススメなのが「ツバメのねぐら観察会」です。
渡良瀬遊水地で繁殖を終え、夏の終わり、南国へ戻るツバメ数万羽が集結し、ヨシ原のねぐらに集まってくる様はまさに圧巻の一言!
日が暮れると真っ暗になるので、懐中電灯を忘れずに持っていきましょう。頭につけるヘッドライトがあると便利ですよ。
夕立も多いので、レインコートなど、両手が空く雨具を持って行くと安心です。
渡良瀬遊水地「ツバメのねぐら入り観察会」日本野鳥の会栃木県支部
ワシタカ好き必見!ワシタカのカウント調査に挑戦しよう
バードウォッチングの名所、渡良瀬遊水地の名物が「渡良瀬遊水地ワシタカカウント探鳥会」です。
ワシタカ好きならゼッタイに外せません!
毎年2月の第1日曜日、渡良瀬遊水地を10あまりの区域に分け、調査員を数人ずつ配置し、1日かけてワシタカ類を観察し、個体数などを記録します。
調査は、時刻を15分間隔で区切り、各調査定点で観察したワシタカの数や観察した位置、状態(止まっているか、飛行しているか)を記録します。
調査定点で個体が重複しないよう、トランシーバーで隣の調査員とひとつひとつの個体を確認しあう様子はかっこいいですよ。
この調査、なんと初心者大歓迎!
各調査定点に熟練バードウォッチャーや専門家を配置するので、初心者はとにかくワシタカっぽいものを見つけたら「あそこにいる!」と叫べばよいのです(笑)
初心者の役割は、ワシタカを見つける「目」になり、できるだけその場にいるワシタカを逃さず発見することにあります。
実はワシタカの見わけ方は難しいので、バードウォッチング歴4年を誇るツグミでさえ、いつも戦力外(涙)
ワシタカは上空高くを飛ぶので、下から見上げると逆光になり、どれも真っ黒に見えてしまいます。
低空飛行することもありますが、とにかく速いので目が追いつかず特徴をとらえられません。
熟練バードウォッチャーは、シルエットや飛び方だけで見わけてしまうんですよ!
ぜひワシタカカウント調査に参加して、ワシタカを見わけるスキルを身につけましょう。
渡良瀬遊水地「ワシタカカウント探鳥会」日本野鳥の会栃木県支部
渡良瀬遊水地の市民による生き物調査に参加しよう
渡良瀬遊水地対象の調査には、ワシタカカウント調査以外にも、初心者でも参加できる「市民による生き物調査」もあります。
「市民による生き物調査」とは、野鳥・植物・昆虫の3班にわかれて定期的に調査を行い、結果を記録してデータ化し、渡良瀬遊水地の環境保全に役立てる調査です。
専門家と一緒に調査できるので、バードウォッチングのスキルはもちろん、調査の手法も勉強できます。
趣味としてのバードウォッチングはもちろん楽しいです。
でも、趣味のバードウォッチングが調査という形で環境調査のデータとなり、今後の渡良瀬遊水地の保全に役立つなら、こんなにうれしいことはないですね。
バードウォッチングの名所「渡良瀬遊水地」ならコウノトリにも会える
渡良瀬遊水地はワシタカの名所であるとともに、コウノトリに会える場所でもあります。
渡良瀬遊水地に設置された巣塔に定住したコウノトリのペアが、昨年に引き続き今年も繁殖に成功しました!
昨年2羽の子どもたちを育て上げた母親の「歌」は、残念ながら足のケガが原因でなくなってしまいました。
今年は「レイ」が2羽の子どもたちを育て上げました!とっても嬉しいですね。
渡良瀬遊水地のコウノトリとは?
渡良瀬遊水地に定住を始めたのは千葉県野田市出身のオスのコウノトリ「ひかる」です。
「ひかる」は2018年2月から渡良瀬遊水地に定住を始め、2020年3月に徳島県鳴門市出身のメス「歌」とペアになり、同年推定5月30日に雛が生まれました。
野外繁殖による雛の誕生は1971年に国内野生コウノトリが絶滅して以来「東日本初」、2歳のメスが産んだ卵がふ化したのは「日本初」として話題になりました。
雛「わたる」(オス)と「ゆう」(メス)は無事巣立ち、現在も元気にしているそうです。
「ひかる」は若妻「歌」がしばらく巣に帰ってこなくてもしっかり卵を守った、責任感と根性のある性格です。
以前、別の鳥関連のイベントでお会いした方が「ひかる」の故郷、千葉県野田市の方で、「うちのひかるは元気にしてる?」から話が盛り上がりました。まるで息子を婿に出した親そのものでした。
コウノトリは近くで見ると威厳があって迫力満点です。
渡良瀬遊水地コウノトリ交流館へ行ってみよう
コウノトリをよく知るためには渡良瀬遊水地コウノトリ交流館へ行ってみましょう。
「ひかる」を中心に渡良瀬遊水地にゆかりのあるコウノトリに関連した展示があります。
大型スクリーンで今までのコウノトリの動画を見ることもできますよ。
残念ながら2020年10月に死んでしまった「ひかる」の前のペア「歌」のはく製にも会えます。
コウノトリを観察するときに気をつけること
「ひかる」とペアになりヒナ2羽を生み育てた「歌」の死亡につながった脚の骨折の原因は今でもよくわかっていないそうです。
ただ、野生育ちで人慣れしていない「歌」は、もしかしたら、近くに寄って見物した人間に驚き、人工物に脚を接触し骨折したのではないかという見方もあります。
事故で命が失われないよう、コウノトリの観察や撮影は堤防上で、150m以上離れた場所から行いましょう。
コウノトリに限らず、野鳥観察で一番気をつけることは、野鳥を驚かさないことです。
「お邪魔します。ちょっと見せてください。」という謙虚な気持ちでバードウォッチングをしたいですね。
また、渡良瀬遊水地にはイノシシが出没しますので、舗装道より奥深くへ入らないようにしましょう。
まとめ
バードウォッチングの名所「渡良瀬遊水地」の魅力がよくわかりましたね。
多くの種の野鳥に恵まれた渡良瀬遊水地は日本有数のワシタカの名所でツバメのねぐらでもあるとともに、コウノトリに会える場所でもあります。
渡良瀬遊水地なら、初心者でも様々な団体の観察会に参加したり、専門家と一緒に調査に挑戦することもできます。
ひとりで楽しむ趣味のバードウォッチングから、スキルを高めて将来の環境保全へ貢献するバードウォッチングへグレードアップできるのが渡良瀬遊水地の魅力です。
地元住民が守り抜きラムサール湿地登録を達成した渡良瀬遊水地をこれからも大切に楽しみたいですね。